SJC保護者向けコラム P&SJC vol.1:就職活動の今

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こんにちは。
このたび就活生の保護者向けコラム「P&SJC」を担当することになりました、ワークイズ代表の桑原 祐介と申します。キャリアコンサルタントと研修講師の2つの仕事を中心に活動しています。企業と学生双方と関わる経験から、「今の就職活動」を保護者の皆様にわかりやすく伝え、お子様との情報共有と心情理解にお役立て頂ければ幸いです。

親と子…就活でのそれぞれの悩みが

さて、突然ですが、保護者の皆さんに質問です。
「結婚は家と家がするもの。親の言うことを聞いていればきっと幸せになれる。勝手な恋愛など許さん!どこの馬の骨ともわからん奴と結婚させるわけにはいかない」と主張する人がいたら、どう感じるでしょうか?
人によって感じ方は違うと思いますが、就活生のお子さんを持つ親世代には「いまどきそんな時代遅れな考え方をする人がいるのか」といった印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
昔はこういう親がたくさんいたのだと思います。そして、もちろん多くの親は子供の不幸を願っていたわけではなく、本気で子供の幸せを思ってこのような言葉を口にしていたはずです。
ただ、今の時代には合っていないでしょう。子供たちの気持ちとも異なるものだったと感じます。


では、この構図を、そのままスライドさせ、就職活動中の親子に当てはめてみたいと思います。
「親の言う通り、大企業や公務員を目指しなさい。どこの馬の骨ともわからん会社に就職するなんてとんでもない」
言葉は違うかもしれませんが、お子さんに対してこのような働きかけをしてしまう親が増えているそうです。実際に就活生の相談では、そうした親御さんに悩まされている学生さんに出会うことは、決して珍しいことではありません。
ただ一方で、ほとんどの親には悪気はありません。先の結婚の例と同じように、もちろん親は子供の不幸を願っているわけではなく、本気で子供の幸せを思ってこのような言葉を口にしているはずです。
ただ、時代には合っていないでしょうし、子供たちの気持ちとも異なっている、そう感じるのは私だけでしょうか?

親世代と子世代の就職活動、そこから生まれる溝とは

履歴書

今の就活生の親世代は、バブル期に就職をした方が中心ではないかと思います。
当時の就活は今とはかなり異なるものでした。就職情報各社から分厚いハガキの束が届き、そこから関心のある企業に資料請求をし、OB訪問や説明会を経て、3回ほどの面接で内定までこぎつける、といった流れだったのでした。企業は学生の確保に必死になっており、「拘束旅行」なるものもありました。旅行に連れていくことで外部との連絡手段を絶ち、他社に流れないように工作していたのです。
就活の期間もピークは数ヶ月、といった人が多かったのではないでしょうか。


ところが、今の就活は違います。
履歴書だけではなく、エントリーシート(ES)を書いたり、選考が進めば企業から様々な課題が出されたりすることもあります。そもそも就職活動の期間が1年近くになり、1年を超えることも珍しくなくなりました。3年生の夏からインターンシップに参加し、翌年の夏を超えても内定がもらえない学生も少なくありません。面接の回数も増え、5回、6回と実施する会社もありますし、グループディスカッションがあったり、筆記試験の代わりにWeb上でのテストがあったりと、複雑になる一方です。さらに、「たとえ希望の人数を採用できなかったとしても、選考基準を落とすことはしない」という企業もたくさんあります。つまり、単純に「求人倍率が1を超えているから就職できるはず」とはならない、ということなのです。

大企業が安定とは限らない?

また、「大企業は安定している」という時代でもなくなりました。
確かに大企業は、会社こそ続いていくかもしれません。しかし、事業から撤退したり、工場を閉鎖したり、数千人単位のリストラが行われたりといったニュースをしばしば目にします。会社が残るかどうかと、個人の雇用が維持されるかどうかは別の話です。
人生のすべてを「失われた20年」の中でのみ過ごしてきた学生たちは、そもそも親世代とは感じ方も企業に対する期待感も違っていると考えるのが妥当でしょう。


冒頭、親との関わりの中で悩んでいる学生のことに触れました。
信じられないような話があります。ある一部上場企業の人事担当者と話したときのことです。その会社は、主力製品のシェアが世界第1位、という大企業でした。国内ではありません。世界でトップという、世界中で知られた会社なのです。ところが、B to Bの会社ということもあり、TVCMをやっているような「子供でも名前を知っている会社」ではありませんでした。驚いたのは、かつてその会社の内定を辞退した学生さんの辞退理由です。
「親が『そんな会社、名前も聞いたことがない。辞退しなさい』と言うので……」

最終的には自分で決めたとはいえ、親の不勉強で将来が変わってしまった学生さんのことを思うと、ちょっと複雑な気持ちになります。

親の思う幸せと子供の幸せって?

親子

親からみれば、自分たちの子供です。いつまでたっても心配な気持ちはあって当然でしょう。
それでも、子供たちは自分たちで判断し、自分たちで歩いていきます。親がすることは「これはダメ。あれはダメ。こうしなさい。ああしなさい」ではなく、心の扉を常に開けておき(そして扉が開いていることを常に子供に伝え)、扉から入ってきたときに受け止めてあげることではないか、と思います。1年以上もの就職活動の間、内定がもらえず、いつトンネルから抜けられるのかもわからず、さまよわなければならない学生たちは、不安でいっぱいになることもあるでしょう。内定がもらえないことを、「自分は社会では通用しないのではないか」と受け取り、自己肯定感がどん底まで落ちてしまう学生さんもいます。そんな時に、「親だけは自分を肯定してくれる」という思いがあれば、どれほど心強いか。

そして反対に、それがなければどれほど心細いか。

子供たちは、結婚したい相手と結婚すればよいのだと思います。
その相手がお金持ちでなくても、名家の出ではなくてもいいのではないでしょうか。
大切なことは、子供たちに人を見る目を養い、人を信じる心を養い、人と人の間で生きていけるよう教えていくことであって、レールを敷いてやることではないのだと思います。 そして、子供たちは就職したい会社に就職すればよいのだと思います。
その会社の給料が高くなくても、有名でなくても・・・。

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