理系学生向けコラム第Ⅱ期 情報収集の仕方(企業選びで後悔しないために)

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第9回 どのような働き方をしたいのか(職種について考える)【+就活キーワード:MECE(ミッシー)】

第Ⅰ期では、自己分析を中心に自分の内面を知ることについて書いてきました。第Ⅱ期ではいよいよ企業選びに入っていきます。

第9回(今回)どのような働き方をしたいのか(職種について考える)
第10回 どのような企業があるのか(志望企業のポジションは?)
第11回 志望企業の研究
第12回 地元(静岡県内企業)の研究

いきなり、私の個人的なキャリアの話で恐縮なのですが、私は40年弱にわたり企業に所属して働いてきました。いわゆるサラリーマンです。
私はこの期間に4つの企業に勤めました。(私の世代では転職が多い方だと思います)
業種は、「旅行・ホテル業」「製造業(窯業)」「情報・通信業」です。企業の規模では「日本の老舗大手企業」「グローバル企業」「地方の中堅企業」と様々です。
一見バラバラでジョブホッピングしてきたかに見えますが、職種の部分では「経理」を中心として「人事」「総務」「経営企画」などの企業の管理部門での仕事と、一貫しているのです。
「経理」分野では、日本の大企業の会計、中小企業会計さらにアメリカの企業会計など、制度上の違いはあっても「複式簿記」「会計学」というスキルをベースに仕事ができました。

皆さんにお伝えしたいのは、いきなり企業を選ぶのではなく「どのような働き方をしたいのか?」から考える、すなわち「職種」から考えることです。
創業者や経営者にあこがれて、あるいは企業の理念に共感して「何が何でも○○社に入りたい!仕事はなんでもします」という人もいるでしょうが、日々の仕事に充実感がなければ、いずれ苦しくなってしまうのかもしれません。

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例えば、薬学系の学部の学生さんにとっては、製薬業界に所属する企業はトップでターゲットになるでしょう。(業界の分析は次回、第10回で書きます)
その企業に入ってどういう働き方をしたいかイメージしてみましょう。研究職でしょうか?研究職でも研究開発職(探索研究・研究開発)と臨床開発職があります。
前者は大学の研究室と似た環境での仕事でしょう。後者は病院の医師(治験担当者)など外部との接触も多くコミュニケーション能力が求められます。メディカルライティングといった職種では一般の事務職に近い仕事で、事務処理能力プラス文書作成能力が求められます。
また、MRという職業名を知っていますか。「医療情報担当者」(Medical Representative) のことです。営業職に近い仕事ですが、薬学の専門知識をもって製薬会社と病院・薬局をつなぐ、そのような仕事もあります。

このように様々な職種があるため、皆さんが選ぼうとしている会社に希望する職種があるか?採用枠があるか?をチェックする必要があります。

もう一つ例を挙げます。
情報系の学部の学生さんで「ソフトウェア開発者(PG・SE職)」を目指しているとします。この例では、職種が絞られていますから、「○○システムズ」「○○情報ソリューション」といった名称の会社がターゲットになるでしょう。
しかし、SE・PGといった職種はソフトハウスばかりでなく、製造業、金融業、流通・小売りなどあらゆる業種の企業内の「情報システム部」といったセクションでの活躍の場があります。
自社のシステムを理解し運用管理をするとともに、大型のシステムをソフトハウスに発注する際の窓口(仕様決定、価格決定、・納品受け入れ検査など)となる部門です。

2つの例を挙げましたが、皆さんが思っている以上に多くの職種やその職種が活躍する舞台があるのです。
このコラムは、理系の就活生の皆さんに向けてということですので、特に理系の皆さんは、自身の専門分野とやりたい仕事を関連付けて、「その会社の業界でのポジション(第10回)」「その会社の経営状況(第11回)}をしっかり見て企業選びをする必要があるのです。

実際の仕事内容を知ろう!

具体的にその職種の実際の仕事内容を知るにはどうしたらよいか?
これについては、インターンシップへの参加、研究室の教授や先輩に聞いてみることです。

また就活関連の書籍にも職種ごとに解説した本も出ているため、イメージと実際の働き方のギャップを埋めておくことができます。そのうえで、会社説明会や企業訪問の機会に(予備知識を持ったうえで)質問してみましょう。
蛇足ですが、質問をするときには、「医療情報担当者ってどんな仕事ですか?」ではNG。「医療情報担当者は御社と御社の顧客をつなぐ重要な仕事だと思います。御社の顧客はどのような方ですか?御社で活躍されている医療情報担当者はどのような強みを生かして働いているのでしょうか?」くらいまで具体的に聞くといいでしょう。
採用担当者がちょっと考えてからでなければ答えられない質問、担当者を唸らせる質問をぶつけることができればしっかりと印象に残るでしょう。特に人気があって競争率の高い企業であれば、まずは一次の選考に進めるかどうかを決めるポイントになります。

一方で、内定が決まって就職ができたとしても必ず希望した職種につけるとは限りません。企業側も採用できた学生(=新入社員)の全体をみて最終的に社内での配属を決めるからです。
しかし、この点は今考えても仕方ないことです。就活にあたっては、「御社に入社出来たら、どんな仕事でも頑張ります」ではなく「御社に入社出来たら私の専門知識と強みを活かして○○○な仕事をして貢献したいです」と答えられればいいのです。

《就活キーワード : MECE ミッシー》

Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive の頭文字をとってMECE(ミッシー)といいます。
直訳すると「相互に排他的であり、かつすべてを網羅している」、つまり「モレなくダブりなく」という状態を指しています。(英語と日本語では順番が逆ですが)
情報を分析するときに、分析対象のデータがMECEであることが求められます。分析対象を、生物でいう「オス」「メス」に分ける、じゃんけんは「グー・チョキ・パー」で「勝ち・負け・引き分け」に分ける、などがMECEの例です。

ですが、美容院が20~30代の女性をターゲットにして顧客分析をするときに「学生」「OL」「主婦」に分類したとするならそれはMECEではありません。働きながら通学している、結婚して家庭を持ちながら通学している人がダブってしまいます。また学生でなく一時的に仕事をしていない単身者はモレてしまいます。
問題解決をする上で大きな課題を小さな論点に分解して、実効性のある解決策を見つけだすプロセスで、分解した論点がMECEになっていなければ、見落としがあったり、不必要な対策(最適でない対策)を採用してしまったりします。
普段は無意識にやっていることでも、重大な意思決定、問題解決をするときにはMECEを意識することが欠かせません。

【プロフィール】

履歴書

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
人事、総務、経理などの管理部門に携わる。採用は、新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。
面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現させてきた。

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