SJC就活生向け 就活キーワード2

コンプライアンスとは

新聞やTVのニュースなどで、不祥事を起こした企業のトップによる謝罪会見が報じられています。一般企業ばかりではなく、国や地方自治体でも不適切な行為が明るみに出ています。
これらの会見や報道でよく出てくる言葉に、コンプライアンス(compliance)があります。
ビジネスの世界では「法令遵守(じゅんしゅ)」と訳されて使われます。 様々な企業活動において関連する法律をきちんと守る、ということです。さらに、法律ばかりでなく、企業倫理や会社が独自で定めた社内規則を守る、ということも含みます。

具体的には、企業は、顧客(お客様)、株主、取引先などの利害関係者(これらをステークホルダーといいます)に正しい経営状況を報告しなければなりません。実際以上に会社の業績を良く見せる(時には悪く見せる)ことを粉飾決算といいます。当然、こういった行為は法律違反になり処罰の対象になります。

企業が生産する生産物(製品)には、欠陥があってはいけません。また欠陥があることが判明したならばすぐさま公表し回収する、修理する(リコール)などの処置をとらなければなりません。しかし、検査値(データ)の偽装もありました。不具合の隠蔽もありました。製品に限らず、サービスにおいても不適切な行為が頻発しています。顧客のデータの流出もありました。

また、社員との関係も含まれます。違法な働かせ方やハラスメントの問題です。働くことに関しても、労働基準法や労働安全衛生法などがありますし、就業規則にハラスメントの禁止規定をさだめているはずです。

コンプライアンスに反する行為があると、法律によって処罰されるだけでなくステークホルダーからの信頼を失います。そうなると企業は成長どころか社会的信用を失ってしまい最悪の場合には倒産してしまうこともあります。

最近では、あまりにも多くのコンプライアンス違反事例が報じられています。皆さんの志望されている企業に、こういった企業がないことを祈るばかりです。一方でコンプライアンス維持をしっかりやっている企業もあります。こういった活動を通して「社会的信用の向上」「競争優位性を確保」「労働環境改善による人材確保」ができるからです。 企業のホームページを見るときに、コンプライアンス(法令遵守)の取組が書かれているか、どういった内容か?をチェックしてみてください。

付記)ガバナンス(governance)
謝罪会見などで「ガバナンス不在」「ガバナンスの見直し」などの発言があります。コンプライアンスと似た言葉ですが、違いを説明しておきます。
英語のgovernには、統治する、管理(運営)するという意味があります。(ちなみにgovernor は、統治する人=知事ですね)ですから本来は、cooperate governance という言い方が正しいのですが、governance だけで使われています。日本語訳は「企業統治」です。
コンプライアンスは、法令や各種規則・ルールを守ることとして使われるわけですが、このコンプライアンスを維持し、より高い基準にしていくための「管理体制」のことを(コーポレート)ガバナンスといいます。

SDGs/持続可能な開発目標

企業は、利益を出し続けていかなければなりません。たくさん儲かったから終わり、儲からないからやめてしまう、というようなことでは、働く社員や取引先などの関係者(これらの関係者のことをまとめてステークホルダー stakeholderといいます)に多大な迷惑・損害を与えてしまいます。企業会計では、継続企業の前提(ゴーイングコンサーンgoing concern) といわれるものです。

しかし、利益を出すにあたって、そのための企業活動が社会的に容認されないようなものであったならば、企業は存続できません。社会からNO!といわれてしまうのです。 高度成長期の公害問題や、最近頻発する検査データの改ざん問題など大企業、歴史のある企業までもが起こしています。会社そのものが無くならないまでも、顧客、取引先、そこで働く社員に対してたいへんな不幸をもたらしているのです。

さて、皆さんが就活するにあたり、企業の内部の実態まで踏み込んで調べることは至難の業です。しかし、優良な企業かどうか判断する材料はあります。利益を得るための活動(=本業)は、しっかりやりつつ(ここは企業のホームページの財務情報を見て売上高や利益額の推移を確認する)、同時に社会的な活動を継続的に行っているかを見てください。
最近では、特に「環境に配慮した経営」が求められていることから、ISO14000(EMS)、エコアクション21、SDGsなどに取り組んでいたり、企業理念・ミッションなどにLOHAS(ロハス、"lifestyles of health and sustainability"健康で持続可能な、またこれを重視する生活様式)、スローライフ、ゼロ・エミッションなどを入れたりしている企業もあります。企業研究で調べるポイントです。

今回は、最近取り組む企業が増えているSDGsについて解説します。
SDGsとは、Sustainable Development Goals の頭文字をとったもので、「持続可能な開発目標」と訳されます。日本政府(外務省)のホームページには、以下のように紹介されています。
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます
これをうけて、企業でも取り組みが進んでいます。就活で挑戦する企業がSDGsに取り組んでいると公表されているのならば、取り組み内容を質問してみるのもよいでしょう。17のゴールについては、下記の図を見て確認してください。
個別面接

1月21日に浜松信用金庫と磐田信用金庫が合併しました(浜松いわた信用金庫になりました)。理事長の記者会見でも、「SDGsを経営の根幹に据えて社会課題の解決を図る新たな取り組みや、価値改革を掲げる新中期計画案も策定」とありました。金融機関自身が取り組みを進めるだけでなく、融資先の企業評価にもその取り組みが反映されていくでしょう。
政府(外務省)が公表している企業の取り組み例は下記URLから見ることができます。大手企業が多いですが、皆さんが志望する業種の企業の例は参考になります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/case/org1.html

AIと仕事の未来

AI(人工知能 artificial intelligence)という言葉を聞かない日はないくらい、また新聞や雑誌などでも頻繁に取り上げられています。ビジネスの現場でも、AIがあたかも魔法の救世主であったり、仕事を奪う恐怖の対象であったり様々に語られています。

私は、いわゆる文系の人間です。コンピュータサイエンスを専攻されている学生さんには知識では敵いません。
しかしIT企業の管理部門で仕事をしてきましたので、技術的な深いところはわかりませんが、その技術が私たちの働き方をどう変えていくのかには関心をもって、学んできました。
多くの皆さんも、AIがこれから社会に出ていく自分とどうかかわるのかを学んでいくことが重要になります。

就活を念頭において解説をします。
まず、社長・役員や面接官は、(年齢的に)汎用コンピュータからPC(パーソナルコンピュータ)への進化、ビジネスアプリケーションの充実による業務の効率化、高速通信技術による情報伝達のスピードアップなどを経験してきています。
皆さんは、卒業論文はどのように書いていますか?大多数はqwertyキーボードを使っていると思いますが、タッチパネルからフリック入力で文章を書く人も増えつつあるようです。さらには音声入力ですら可能になってきています。
どのような技術で、それがどのように使われているのかを理解できなくとも、それらを使いこなしていくことが必要です。その波に乗れなかった人たちは、ビジネスで活躍するチャンスを失っていきました。

現時点でAIの登場で何が変わるのか?AIによって何ができるのか?
1.パタン認識
2.プロファイリング・スコアリング・ファイリング
3.創造活動などの高度な知的活動
3つについてそれぞれ見てきます。

1.パタン認識
パタン認識は、図形を認識する技術が急速に進歩し、画像認識(例えば人の顔)が代表例です。
マンションの入り口での住人の顔を認識したり、路上の監視カメラから特定のパタンの人を見つけだしたりします。さらには、自動車の自動運転技術もこのパタン認識の延長上にある技術が使われます。また医療分野では、CTやMRIの画像から癌細胞の存在を医師の目による見逃がしを防ぐ目的で使われます。

また、音声認識では、自動翻訳技術があります。TVのCMでもよく見ますが「OK Google」「Hey Siri」と声をかけることでコンピュータが要求に対応してくれます。
これらは、人間なら簡単にできることをコンピュータができるようになってきた、ということです。スピードや大量の処理という点では人間を上回っています。

2.プロファイリング・スコアリング・ファイリング
人間では不十分にしかできないことを、コンピュータならば正確かつ迅速にできるということです。
amazonで書籍を注文すると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といってその人が興味を持ちそうなお奨めの本を紹介してきます。「レコメンデーション」と呼ばれる機能です。
またfacebookでも「いいね」した記録から個人向けに広告が送られる仕組みがあります。とても人手では処理できない大量のデータを一瞬で処理しています。

企業の会計の分野では、会計監査では十分にチェックできなかった不正処理をAIの力を使い発見しようとする試みがなされています。医療における診断や、医療保険の保険料を個人別にリスク評価していくことも可能になってきています。

3.創造活動などの高度な知的活動
AIが小説を書いたり新聞記事の編集をすることが可能になっています。チェス、囲碁、将棋などでもコンピュータと人間が対戦しています。作曲をすることもできます。
しかし知的活動に関しては、機械学習が進んだとしても、データベースが存在し何をするのかが決まっていなければなりません。

では、実際の仕事における変化はどのように予想されるのでしょうか?
かつて、製造業の現場では、単純な反復作業労働者の仕事がロボットに代替されました。無人の生産ラインをTV映像などでご覧になった方もいるでしょう。ではそこで働いていた労働者はどこへ行ったのか?
技術の変化に伴う働き方の変化についていけなかった労働者は、本人の望まない仕事に就くしかなかったケースもありました。
しかし、大多数の労働者は、ロボットのメンテナンス、動作制御などの仕事に代わりました。生産ラインのバックヤードで働いています。

現在のAIのビジネスへの応用によって、よく言われるのが「士業」といわれる人たちの仕事が奪われる、というものです。弁護士、会計士、税理士、司法書士などの職種です。
ここで勘違いしないでいただきたいのは、これらの職業が不要になるというのではなく、これらの人たちがやっている「ものを調べる」「定型書類を作成する」などの仕事がAI に代替されるのです。高度な判断業務は残ります。
いわば本来の仕事に専念できる環境ができ、アシスタント的な仕事が不要になるわけです。銀行の窓口業務(テラー)も、ATMの活用が進んでいますが、ますます加速していきます。

「中抜き」という言葉があります。商品の流通において、生産者から最終消費者までをつなぐ中間業者を飛ばして、直接モノやサービスを届ける意味で使われます。情報も然りで、情報仲介で成り立っている事業はAIに代替される可能性があります。
ここで、高校生の時の世界史の授業を思い出してください。産業革命によって、手作業をしていた労働者が機械の登場で仕事を奪われ、機械を打ちこわすという暴挙に出ました。(ラッダイト運動)しかし何の解決にもなりませんでした。機械生産により、モノが豊かになり、さらに生産が増え、新たな大きな雇用が出現しました。

AIのビジネスへの適用についても同じことが言えます。仕事の変化についていくために、常に情報を収集し、方向を見定めて学習することが必要なのです。デジタルネイティブといわれる皆さんの世代にとっては、大きなチャンスになるはずです。

『人間+マシン AI時代の8つの融合スキル』
ポール・R・ドーアティ、H・ジェームス・ウィルソン著 東洋経済新報社 2018.12.6 発行
コンサルティングファーム「アクセンチュア」のリサーチャーによる最新刊

AI技術の解説から、業界や業種によって仕事にどのような変化が生まれているのかがまとめてあります。グループディスカッションのテーマや、面接での質問に出てくるかもしれません。
就活中は、移動時間や待機時間が多くあります。こういった時間を利用して読み進めることをお奨めします。

イノベーション Innovation

「マーケティング」の就活キーワードで、企業の機能はただ二つだけ、すなわちマーケティングとイノベーションである、というピーター・ドラッカーの言葉を紹介しました。今回は、このイノベーションについて、就活をするにおいて知っておきたい最低限の内容を紹介します。

経済学者のシュンペーターが提唱した概念で、経済発展のために生産要素の組み合わせを変化させたり新たな生産要素を導入することで生産を拡大する行為で、「新結合」「新機軸」などと言われています。
経営学者のクリステンセンは、「一見、関係なさそうな事柄を結びつける思考」と定義し、これまでの産業の在り方を覆すようなものを「破壊的イノベーション」と呼びました。アパレル業界におけるユニクロ、文具通販のアスクルなどが身近な例です。  
「技術革新」などと表現されて画期的な技術の発明や進歩が必要だと誤解されますが、企業内で行われている改善・改良などもイノベーションなのです。イノベーティブな企業では、多くの小さなイノベーションを生む風土があり、そこから「破壊的なイノベーション」を生む素地ができてくるのでしょう。皆さんが就活に挑む企業では、どんなイノベーションが行われているのでしょうか?訊ねてみてどのような答えが返ってくるでしょうか?(企業秘密と言われるかもしれませんが)

マーケティング Marketing

マーケティングとは、企業が生み出す製品やサービスをお客様(顧客)に知ってもらい購入・消費していただくまでの一連のプロセスを言います。
・現代のマーケティングの大家(マーケティングの父と呼ばれる)フィリップ・コトラーの定義は、「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」です。
・そのコトラーが父と呼ぶ(そうするとマーケティングの祖父?)ピーター・ドラッカーの定義は、「マーケティングの究極の目標は、セリング(売り込み)を不要にすることだ」です。

これらの定義では、ちょっとピンと来ないかもしれませんね。実際のマーケッティングの手法として「AIDMAの法則」を紹介します。これは、消費者がある商品やサービスを知って購入・消費に至るまでの過程を示していて、それぞれのステップに応じて企業は活動をします。

1. Attention(顧客の注意を引く)
2. Interest(顧客に商品を訴求し関心を引く)
3. Desire(顧客に商品への欲求があり、それが満足をもたらすことを納得させる)
4. Memory(記憶にとどめさせる)
5. Action(顧客に行動を起こさせる)

もう一つ、覚えておきたいフレーズがあります。
マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーの言葉です。「企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」(*)
*『マネジメント-課題・責任・実践』(上)p74 、『[エッセンシャル版]マネジメント』p16

顧客とは

顧客(こきゃく)という言葉は、日常ではあまり使わないでしょう。しかしビジネスの世界では頻繁に使われます。要は、「お客様」のことなのですが、いろいろな言い方、使われ方をします。企業担当者との会話でも出てくるでしょう。
ポイントを押さえておきましょう。

・顧客をカタカナ(英語)で言うと customer (カスタマー)です。
・顧客第一(主義)は、customer first です。
・お客様とのつながりは、customer relationship といいます。
・お客様に満足いただけることは、すなわち「顧客満足」customer satisfactionです。略してCS ともいいます。アンケートやお客様の声などで顧客満足調査をしている企業は多くあります。
・現在はまだお客様ではないけれども、将来のお客様になる可能性がある人たちを、「潜在顧客」potential customer と言います。
・新しいお客様を作っていく活動を「顧客創造」customer creation、「顧客開拓」customer developmentなどと言います。「マーケティング」marketingと言われる活動がこれにあたります。

以上、いろいろな用例をお伝えしましたが、企業担当者との会話において、無理して背伸びして使うのはちょっと危険かもしれません。
でも、担当者からこういった用語が出てきた場合には、理解しているよ、としっかりと頷いて(アイコンタクトをして)会話を発展させることができるように覚えておいてください。

Group Think, Collective Wisdom

採用選考のプロセスの中で、グループディスカッションを実施する会社があります。詳しいデータはないのですが、実施している会社はそう多くはないと思います。
なぜなら一回60分程度で学生さんにディスカッションしていただいても、評価することが難しいからです。評価者としてのスキルも高いレベルが要求されます。こうした理由から集団面接、個人面接を重ねる方が得策と考えるからです。
しかし、少数とはいえ実施する会社もあるので、その対策については第Ⅲ期の中で取り上げます。

さて、今回は集団での意思決定についてです。
Group Think は「集団浅慮」などと訳されます。
1972年に社会心理学者のアーヴィング・ジャニスが提唱した概念で、「集団で決めた事柄が大きな過ちにつながる」現象を指しています。「一人で決断するより、グループで相談して決定する方が優れていると思われるが、必ずしもそうではない」ことをいいます。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というジョークがありましたが、一人では絶対に横断しないのに、グループリーダーが信号無視してメンバーもなんとなく従ってしまう(集団の一体性を優先する)行動をとってしまう。つまり、リーダーの示す方向性が弱く(質が悪く)て、グループの凝集性が高い(=多様性を受容しない)組織において起こる現象です。

一方、Collective Wisdom あるいは the Wisdom of Crowds の方は、ことわざの「3人よれば文殊の知恵」に近い考え方です。「集合知」「集団の知恵」などと訳されます。
アメリカのクイズ番組で回答者が助言をもらっての正解率が、専門家に聞くより会場の聴衆の多数派意見のほうが高いことなどがその例です。賢い集団の特徴は以下の4つの要件が満たされることが必要と言われます。
・意見の多様性(それが既知の事実のかなり突拍子のない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)
・独立性(他者の考えに左右されない)
・分散性(身近な情報に特価し、それを利用できる)
・集約性(個々の判断を集計し集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在)です。
フリー百科事典のWikipedia やコンピュータのOS Linux を利用できるということはこの集合知の恩恵です。

【プロフィール】

履歴書

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
人事、総務、経理などの管理部門に携わる。採用は、新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。
面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現させてきた。

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