就活生向け応援コラム 第2回 ものづくり県「静岡」の研究【3】

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静岡県の「ものづくり」

3.ものづくり企業で求められる人材とは?

2.のところでは触れませんでしたが、「ITとものづくり」についてチェックしておきましょう。ひと昔前までは、オートメーションという言葉を使っていました。生産活動に携わる人の働き方が劇的に変化しています。
単に肉体的に単純労働や重労働が機械にとって代わられただけではなく、設計や試作の分野や精密加工の分野でAIの利用が進んでいます。(CAD、CAM、3Dプリンター、マシニングセンタなど)

ものづくり企業にとって、今後、AIの利用の巧拙が業績の鍵となります。情報系の分野を学ぶ学生さんは引っ張りだこです。他の分野の学生さんも、ものづくり企業を目指すならば、「ITとものづくり」について新聞や雑誌で特集されている程度の知識は持っておきましょう。

本題の求められる人材とは?についてです
「皆さんは、レゴを組み立てて遊ぶのと、ジグソーパズルを完成させるのとでは、どちらがワクワクしますか?」勘のいい方はこの質問の意図を見抜かれたでしょう。

私は、ものづくり企業の求める人材は、前者のレゴ型だと思います。すでに最終形が決められているジグソーパズルを完成させるのではなく、数多くのブロックを試行錯誤しながら組み立ててオリジナルなものを作り上げていくことに価値があるのです。
会社の中にあっては、どちらの働き方も必要です。決められた性能を実現していくために調整や擦り合わせをしていくことも必要です。
しかし、企業が新卒の若い皆さんに求めるのはクリエイティビティだと思います。

ここまで書いてきて、静岡県はプラモデルの生産で全国シェア79%であることを思い出しました。
プラモデルを組み立てる(=ジグソーパズルを組み立てる)ことにワクワクするのは悪いことではありません。
仕事として考えるならば、今までにないプラモデルはどのようなものか?新しい遊び方はないか?今まで関心のなかった世代に購入して遊んでもらうには?といった発想ができるかがポイントです。

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TEIJINという会社をご存知ですか?2017年度の売り上げが8,000億円をこえる超大手の企業です。
大正7年(1918年)創業ですから100年を超えています。帝国人絹という社名がスタートです。大正から昭和にかけての繊維産業の花形企業でした。(人絹は、人造絹糸=レーヨンのこと)現在は、衣料用繊維部門はあるものの、アラミド繊維・炭素繊維・樹脂などの素材、医薬品を中心としたヘルスケア分野の仕事をしています。
同じ時期に設立された東洋レーヨン(現:東レ株式会社TORAY)も同様に生産品目を変化させて生き延びてきました。「製造業は安定している」という理由から職種選びをしてはいけません。昭和の花形産業、繊維産業でも多くの企業が、変身できなくて消えていきました。

静岡県西部は輸送機器産業の集積地です。
例えば、皆さんもご存知の通り自動車もガソリンエンジンからモーターによる駆動に代わると、部品の構成が劇的に変わります。点数も大幅に減り、構造も簡単になりモジュールを組み立てるだけになります。排気ガスが出なくなるとフィルターは不要になります。部品メーカーは、わずかに残る需要を奪い合っていては倒産してしまいます。新たなビジネスチャンスに向けて、生きる道を探しています。
企業は、皆さんの学んだ新しい技術やスキル、若い世代の価値観や発想に期待しているのです。

もう一つだけ求められる人材像を挙げます。
企業は皆さんが学んできた専門知識(技術・技能)を入社後にいかして活躍することを期待しています。より先端の、深い専門性が求められます。
しかし、仕事は一人で完結しません。前工程の仕事の結果を受けて、自身の仕事で価値を加え、それを後工程に正しく・齟齬(そご:意見や事柄が、くいちがって、合わないこと)なく伝えなければなりません。

各自が取り組んだ仕事の貢献をリレーしていくイメージです。正しく聞き取る、正しく伝える能力が大事になります。正しく聞いたつもり、正しく伝わったはず、では仕事になりません。
「グループ内の人気者」的なコミュニケーションではない、仕事を成し遂げるためのコミュニケーションについて考えてみてください。

自身が理解できているかどうか相手に質問すること、相手が本当に理解しているかどうかを質問して確認することが大切です。
「正しく(適切に)問いかける力」です。今からでも、このことを意識して学生生活ででも活かしてください。社会人になってからも大きな「強み」になります。

【プロフィール】

履歴書

Jerry O. (大庭 純一)
1956年北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
人事、総務、経理などの管理部門に携わる。採用は、新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。
面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現させてきた。

*Jerryとは:以前、外資企業に勤めていたことがあります。アメリカ人の社員たちは社内でも、お互いを「姓」ではなく「名」の方で、それもニックネームで呼び合います。Jun’ichiという名前は長くて発音しづらい、覚えられないということで「お前はJerryということでよろしく」となり、つけられた呼称です。体もあまり大きくないので“Tom & Jerry”のJerryのイメージもあったのでは?厳しい仕事をしながらも、このような職場内の人間関係を楽しいものにしていくAmericanなスタイルは、日本の職場でも学ぶところがありますね。

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