輝く先輩社員! File4
市場開発事業部技術企画部 金子達也【担当業務】
靜甲の包装機械事業は、容器整列→液体充填→キャップ取付 を得意とする、お客様の製造現場における自動化・省人化・省力化に資するモノづくり部門です。
私は入社以来、三島工場の製造部門や設計部門でお客様に納入するする包装機械づくりにおける電装配線作業やシステム・ソフトウェア設計に携わってきました。
現在は工場からは独立した市場開発部技術企画部に異動し、システム・ソフトウェア設計の枠を超えて、最新のデジタル技術を活用したリードタイム短縮(=靜甲の工場内で効率的に包装機械を設計・製作して素早くお客様へ納入する)に資する活動を担う業務に従事しています。
【達成感の高かった仕事とその背景】
弊社の従来の包装機械づくりでは、構想上・図面上では問題なく稼働するとの見立てのもと機械製作を開始してみると、予見できなかったの機械部品の物理的干渉が生じて、やり直し、ということが時折発生していました。
3Dのシミュレーションソフトを使用して、機械の3Dモデル(=デジタルツイン:現実世界から収集した様々データをまるで双子のように、デジタル空間に再現すること)活用し、実物同様に動かしたり、実物と連動して動かしたりすることを志向した取り組みの企画・検証・実装までを任せていただきました。
目的は、製作する機械を実際に組み立てる前にシミュレーション上で動かすことで、プログラムの検証、修正(デバッグ)を事前に行うことです。プログラム単体でのシミュレーションは現在も実施していますが、3Dのソフトを使用することで、従来はシミュレーション出来なかったセンサー等の動作や、機械部品の干渉などを確認できるようにするという狙いがあります。
従来行っていたプログラム単体のシミュレーションでは、機械全体の動作を検証することは出来ず、実際に機械を組み立てて電気配線を行ってからでなければ、本格的なデバッグ、検証は出来ませんでした。
機械を受注してから出荷するまでの期間に余裕が無かったり、機械の最終的な調整に時間がかかったりすることもありますが、出荷の日程は原則変更できないため、製造現場の負担が大きくなってしまいます。そこで、3Dシミュレーションを活用して機械的、電気的な不具合の洗い出しを前倒しで行う(=フロントローディング)、またその精度を高めることで、日程に余裕を持たせる狙いがあります。
また、同シミュレーションソフトは、お客様の工場の生産ライン全体のシミュレーションを行うこともできます。お客様が工場に導入する機械毎の仕様やラインレイアウト、動線(=人が移動する経路)の設定、人員の配置などを検証し、無駄を省くために用いられます。お客様に対して、弊社の機械を導入した場合のメリットを視覚的にアピールできる可能性があるということも、導入の理由の一つでした。
【前述の仕事の苦労や障壁とそれをどう乗り越えたか】
3Dモデルを動かすための設定作業は、慣れるまでは難しく手間がかかります。通常の設計業務とシミュレーションを並行して行うのは作業量が多くなりすぎるため、シミュレーション用の人員を用意することになってしまいます。
また、機械の設計は2Dと3Dのどちらかで行われ、2Dで設計された機械は基本的に3Dモデルが作成されません。シミュレーションのためだけにモデルを別途作成する必要があり、手間が増えてしまいます。
これらの理由で、現在の弊社では、3Dシミュレーションを製造工程のフロントローディングに活かせる場面は限られてしまい、導入のハードルも高いことがわかりました。
そこで、デジタルツインとは異なりますが、同じ3Dシミュレーションソフトを別の形で活用することを始めています。弊社の機械が組み込まれる生産ライン(お客様の生産ラインは当社の機械だけでなく、上流、下流の他社製装置との組み合わせでラインを形成するケースがある)での製品の流れをシミュレーションすることで、機械やコンベヤのレイアウトが適切かどうかを検証するというものです。
ライン上では、一つの機械が停止すると、上流の機械も合わせて停止することになります。その際、機械間のコンベヤが十分な長さでないと、上流機が完全に停止するまでにコンベヤが満杯になり、上流機の出口が詰まって製品や機械が破損する恐れがあります。受注、あるいは設計の前段階で、レイアウトが本当に適切かどうか判断できれば、実際に機械を製造してからのトラブルを減らすことができ、設計変更や現場のやり直し作業を減らすことができます。
当初の目論見とは違った形ではありますが、本来の目的である、お客様の製造現場の負担を減らすことにつながる活動が出来ていると思います。
【仕事のやりがい】
弊社の包装機械事業を手がける工場は、納入実績のある機械をベースにお客様に合わせた変更を加える形をとることが多いですが、私の所属する市場開発事業部技術企画部は新規開発を主な目的とした部署のため、過去の機械にとらわれずに一から新規開発・設計することができます。新規開発した機械は後々、包装機械事業を手がける工場で製造・販売していくことになるため、取り扱いに困るようなものを作ることはできませんが、自由で挑戦的なものづくりに取り組むことができる部署だと思います。
【これからチャレンジしたいこと】
技術企画部は2023年に新設された部署で、最近、新機種第一弾の新規容器整列機の開発が落ち着き、初めて受注をいただきました。機械の組み立て、調整等をサポートし、お客様の工場で無事生産運転させることが、ひとまずの目標になります。
その後は次に開発する機種を選定することになります。エンドユーザー様や機械を販売する商社様の声を聞きつつ、需要の見込みや技術的な難易度、既存の機種との差別化なども考えて、会社の武器になるような機械を作りたいと思います。
【こんな新入社員・若手社員と働きたい】
自分が知らない、わからないことをそのままにせず、積極的に学んで出来ることを増やしていける人は、先輩後輩問わず、一緒にいて頼もしいと感じます。
新入社員は仕事のことや社内のことがわからないのが当然なので、恥ずかしがらずに積極的に先輩に教えてもらうようにすると、その後の仕事がどんどんやりやすくなりますし、早く活躍できるようになると思います。